「中世文学」68号を読みました。関心のある箇所を主に読んだのですが、学会誌らしく、新人の論文もなかなか重いな、と思いました。 シンポジウム「中世文学と絵画」(石川透・藤原重雄・山本聡美・斎藤真麻理)では、絵画研究が次第に、文学や歴史の分野へ、有機的に組みこまれてきた過程が感じられ、10数年前の共同研究の際、頻りに絵画資料研究に方法論はあるのか、と問うて当惑されたことを思い出しました。近年、画像保存・処理の技術が広く普及したことの効果は大きい。藤原さんの「洛中洛外図屏風の祖型を探る」は、絵画資料の「諸本」「祖型」を追究する姿勢に軍記の諸本論・成立論が思い合わせられ、禁欲的でスマートな手法に納得が…