一 上告代理人の上告理由第一について 捕虜の待遇に関する一九四九年八月一二日のジュネーブ条約(以下「四九年ジュネーブ条約」という。)が我が国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間において効力を生ずる以前に捕虜たる身分を終了した者の法律関係の処理について、同条約を遡及して適用することはできないとした原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。 二 同第二について ソヴィエト社会主義共和国連邦は、四九年ジュネーブ条約の批准に当たり、同条約八五条の適用を留保したものであるところ、原審の適法に確定した事実関係によれば、上告人Aは、昭和二四年二月、…