内田星美 「技術政策の歴史」、中岡哲郎・石井正・内田星美『近代日本の技術と技術政策』(国際連合大学、1986年)、第3章。 総論 本稿:幕末から昭和戦時期直前までの、日本政府の産業技術政策の推移を要約するもの。 日本の経済発展は政府主導型といわれ、低開発国として出発しながら世界有数の高度経済大国となるまでの発展過程において果たした政府の役割には注目されることもあるが、経済発展・技術的進歩は民間人(技術者・発明家)の活力によるところも大きい。 ∵技術政策は長期的展望に基づいたものではなく、各官庁の政策の間に整合性があったわけでもない。また、政策の対象から除外されたにもかかわらず技術進歩が見られ…