養蜂家の初老の男が家族を捨ててひとり蜜取りの旅に出る話である。道中、昔の友達を病院に見舞ったり、家出をした長女の店を訪ねたり、無人の実家に立ち寄ったり、若い娘と出会ったり。 幾つかキーワードになる言葉がある。ミツバチの分蜂で、「新しい女王は巣を飛び立って大空を飛びながらオス蜂と交尾をする」。若い娘が、「私を飛び立たせて」と男に言う。 娘を飛び立たせられなかった男は、人生に見切りをつけ、蜂箱をひっくり返し、ミツバチに刺されながら倒れて死んでいく。 映画には、この監督の今までの主題である、反体制、親共産、ギリシャ愛国のどれもがない。 まず始めに言ってしまうと、私はこの映画が全く不明であった。なぜ妻…