『挿絵叢書 竹中英太郎(一)怪奇』末永昭二編(皓星社) 挿絵叢書というシリーズ名からわかるとおり、「可能な限り発表当時のレイアウトに近づけ」「必ずしも傑作小説集を目指さず、あくまで挿絵の魅力を堪能しうる作品を選」んだ(「序」より)ものであり、「従来の『傑作主義的アンソロジー』では掬い取れなかった作品が、挿絵とペアになることで、新しい魅力を持つのではないかという実験の場でもある」(編者解説より)とのこと。 第一弾は横溝正史「鬼火」、江戸川乱歩「陰獣」でお馴染みの竹中英太郎。 「海底《うなぞこ》」瀬下耽(1928)★★★☆☆ ――ほろ酔い加減で帰ってきた源吉に、女房のおさくが意見めいた口を利いたの…