人間の智慧がいちばん輝かしく発動するのはひょっとして、言い訳を考えているときかも知れない。 涙を流し、情に訴え、もっともらしい理屈を捏ね上げ。 自分が如何に憐れむべきいきものかを分かってもらい、少しでも頽勢を挽回しようと。 平常時なら思いもよらぬ牽強付会、破廉恥極まる責任転嫁も平気の平左でこなしてのける。 古今東西、筆に会話に展開された、秀逸かつ個性的な言い訳を掻き集めたなら、さぞがし興味深い書籍が誕生することだろう。 その一頁に、ぜひともコレを加えて欲しい。明治の論客、讒謗律でぶち込まれた最初の男、自由民権派の巨魁、鉄腸末廣重恭が、明治八年「東京曙新聞」の論説欄に掲載した文章だ。 〇 社 告…