(平成元年十二月二十二日法律第九十一号)
第一章 総則
(趣旨)
- 第一条
- 民事訴訟の本案の権利の実現を保全するための仮差押え及び係争物に関する仮処分並びに民事訴訟の本案の権利関係につき仮の地位を定めるための仮処分(以下「民事保全」と総称する。)については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。
(民事保全の機関及び保全執行裁判所)
- 第二条
- 民事保全の命令(以下「保全命令」という。)は、申立てにより、裁判所が行う。
2 民事保全の執行(以下「保全執行」という。)は、申立てにより、裁判所又は執行官が行う。
3 裁判所が行う保全執行に関してはこの法律の規定により執行処分を行うべき裁判所をもって、執行官が行う保全執行の執行処分に関してはその執行官の所属する地方裁判所をもって保全執行裁判所とする。
(任意的口頭弁論)
- 第三条
- 民事保全の手続に関する裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
(担保の提供)
- 第四条
- この法律の規定により担保を立てるには、担保を立てるべきことを命じた裁判所又は保全執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所に金銭又は担保を立てるべきことを命じた裁判所が相当と認める有価証券(社債、株式等の振替に関する法律 (平成十三年法律第七十五号)第二百七十八条第一項 に規定する振替債を含む。)を供託する方法その他最高裁判所規則で定める方法によらなければならない。ただし、当事者が特別の契約をしたときは、その契約による。
2 民事訴訟法 (平成八年法律第百九号)第七十七条 、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。
(事件の記録の閲覧等)
- 第五条
- 保全命令に関する手続又は保全執行に関し裁判所が行う手続について、利害関係を有する者は、裁判所書記官に対し、事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。ただし、債権者以外の者にあっては、保全命令の申立てに関し口頭弁論若しくは債務者を呼び出す審尋の期日の指定があり、又は債務者に対する保全命令の送達があるまでの間は、この限りでない。
(専属管轄)
- 第六条
- この法律に規定する裁判所の管轄は、専属とする。
(民事訴訟法 の準用)
- 第七条
- 特別の定めがある場合を除き、民事保全の手続に関しては、民事訴訟法 の規定を準用する。
(最高裁判所規則)
- 第八条
- この法律に定めるもののほか、民事保全の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
以下、略