明白かつ現在の危険の基準

一般

明白かつ現在の危険の基準

めいはくかつげんざいのきけんのき

裁判所が精神的自由の規制について合憲性を判断するときに用いる基準のひとつである。

  1. 近い将来に実質的害悪を引き起こす蓋然性が明白であること
  2. 実質的害悪が重大であること
  3. 当該規制手段が害悪を避けるのに必要不可欠であること

の三つの用件が認められる場合にのみ人権を規制することができるとする。


これはもともと,アメリカ連邦最高裁で打ち出された基準である。その起源は,防諜法(Espionage Act/1917)につき合憲の判断を下した連邦最高裁判決*1において,ホームズ判事が使った「明白かつ差し迫った危険(clear and present danger)」という言い回しに遡る。

この考え方は,日本の憲法学にも大きな影響を与え,学説・下級審判例*2のみならず,最高裁判例*3の中にも,この影響を受けたと考えられるものが見られる。

しかし,だからと言って,日本やアメリカ裁判所で,この基準が常にそのまま用いられているわけではない。


ちなみに,ハリソン・フォード主演の映画『今そこにある危機』の原題は,「明白かつ現在の危険(clear and present danger)」である。

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*1Schenk v. United States States, U.S. 47,39 S.Ct 247,63 L.Ed. 470 ,1919和訳

*2:例えば戸別訪問に関する東京地裁昭和42.3.27判時493号72頁など。

*3:例えば泉佐野市民会館事件における最判平7.3.7民集第49巻3号687頁など。