メラニー・クラインによる精神分析的な発達状態を表す用語。
http://web.archive.org/web/20021203112337/http://www.geocities.jp/kohiro_kuroshishi/key_ort.html
妄想―分裂態勢(paranoid schizoid position)
迫害不安に分裂機制で対処している心の構え(松木・30)
生後まもなくから生後4〜6カ月までの乳児の内的世界の状況。母親の乳房が満足を与える時は生の本能を投影して「良い対象」として、欲求不満を感じるときは死の本能を投影して「悪い対象」として経験する。「良い対象」を経験しているときは自分自身を愛情に満たされた心地よい「良い自己」として体験し、「悪い対象」を経験しているときは自分自身をばらばらに壊してしまいそうな攻撃性に満ちた「悪い自己」として体験する。
この「悪い自己」が「良い自己」を破壊してしまうことのないよう、「悪い自己」を「良い自己」から分割(splitting)し、「悪い対象」に投影する。その一方で、「良い対象」を「良い自己」に取り入れ、同化する。
その結果、「良い自己」が自分の攻撃性を投影した「悪い対象」から攻撃されるという迫害不安(persecutory anxiety)を抱く。この迫害不安に対処するため、さらなる分割、投影同一化、原初的理想化などの分裂機制(schizoid mechanisms)を用い、「悪い対象」を破壊しようと試みる(精辞・794、856、松木・27を参考にして自作)。