『雪密室』法月綸太郎(講談社文庫) 法月綸太郎の第二作。1989年親本発行。法月父子の初登場作品です。 冒頭に置かれた「引き裂かれたエピローグ」で、結婚式を控えた花嫁のところに綸太郎が大切なひとの逮捕を告げに来るところから始まります。のちのロスマク・オマージュを彷彿とさせるような悲劇に満ちた見事な導入です。 沢渡冬規から招待状を受け取った法月警視は、長野県の別荘を訪れます。招待状にあった沢渡の元妻・篠原真棹という名前を見て、ついにこの時が来たと感じました。月蝕荘に招かれていたのは、真棹の現夫・篠原国夫、モデルの中山美和子、医者の武宮、陶芸家の真藤と娘の香織、沢渡の弟・恭平。それに沢渡と暮らして…