芳賀徹編『翻訳と日本文化』(山川出版社 2000年) 鴻巣友季子『明治大正 翻訳ワンダーランド』(新潮新書 2005年) これまで読んできたのよりは、出版年の新しい本です。これまでとは違った新たな視点があるのが特徴。『翻訳と日本文化』では、書籍にとどまらず、外交上の翻訳や映画字幕でのケースが取り上げられ、日本の作品を逆に海外に向けて翻訳する場合の諸問題にも触れられていましたし、『明治大正 翻訳ワンダーランド』では、翻訳者の立場から、過去の代表的な翻訳が論じられています。双方とも、文章が読みやすい。 『翻訳と日本文化』は、総勢17名が参加していて、四部に分かれ、第一部は過去の翻訳史を振り返りなが…