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立体商標

一般

立体商標

りったいしょうひょう

立体商標とは、立体的形状が構成要素となっている商標のこと。

新規性のある形状や、従来から認知度・識別性を有する形状(企業のマスコットキャラクターなど)が登録の対象となる。

日本における経緯

日本においては、1996年に商標法が改正される以前においては、商標は平面的なものに限定されていた。しかし、現実の取引社会においては、例えば、店頭の広告用の人形や商品に付される立体物のような立体的形状であっても、平面的なものと同様に自他商品又は役務の識別標識として機能することが認められる。このような立体的形状は、たとえ識別機能を発揮していても、改正前の商標法によっては保護を受けることはできず、周知であることを条件として不正競争防止法によって保護されるにとどまっていた。

その一方、国際的には、すでに立体的形状も商標の構成要素として認めて商標法による登録制度をもって保護することが趨勢となっており、わが国においても商標制度の国際的調和を図る観点から、立体的形状を商標の構成要素として認める必要が生じるようになった。

そこで、1996年改正商標法において、商標を構成する標章に「立体的形状」を追加し(2条1項)、立体的形状や立体的形状と文字、図形、記号等の結合からなる立体商標(5条2項)についても通常の商標と同様に保護する立体商標制度を導入することとし、1997年4月1日に制度が施行された。

立体商標制度の内容

立体商標の成立要件

立体商標とは、立体的形状(文字、図形、記号若しくは色彩又はこれらの結合との結合も含まれる)からなる商標である(2条1項,5条2項)。

  1. 立体的形状からなる商標、又は立体的形状と文字、図形、記号若しくは色彩又はこれらの結合との結合からなる商標であること(2条1項柱書,5条2項)。
    1. 立体的形状とは、三次元の物の形状のみを意味し、二次元の平面的な物の形状を含む「形状」とは異なる。
    2. 立体的形状と文字、図形等との結合からなる商標をも立体商標として保護する。これは立体的形状と文字、図形等が一体不可分に結合され、全体として識別力を有しているものであって、これを立体的形状部分と平面部分に分離することができないものもあり得るからである。
  2. 業として商品を生産等又は役務を提供等する者がその商品又は役務について使用するものであること(2条1項1号、2号)
    1. 業として、商品、役務、生産、証明、譲渡とは、通常の解釈と同様である。
    2. その商品又は役務とは、商標使用者の商品又は役務をいい、使用者との関係で相対的に決定される。
    3. 使用とは、形式的には法2条3項各号に掲げる行為をいうが、本質的には自他商品又は自他役務の識別標識としての使用をいうと解される。

尚、法2条3項各号において「商品その他の物に標章を付すること」とは、商品の包装、役務の提供の用に供する物又は商品若しくは役務に関する広告を標章の形状とすることが含まれる(2条4項)。これは立体商標についての「使用」の意義を明確にしたものである。

包装とは、容器を含むものであり、広告とは、広告塔、看板、店頭人形等を含む。即ち、立体商標には、商品又は商品の包装、役務の提供の用に供する物、広告として使用する広告塔等が含まれる。

立体商標商標法上の取扱い

  1. 出願段階
    1. 立体商標である旨を願書に記載する(5条2項)。これは商標の願書への記載だけでは立体商標であるか否かを判断できないからである。もし、願書に記載がない場合は、平面商標の商標登録出願として取扱われる。
    2. 立体商標を願書に記載する場合は、当該立体商標を一又は二以上の方向から表示した図又は写真によって、立体的形状等の商標の構成及び態様を明確に表示する(5条1項2号)。
    3. 必要のあるときは、立体商標についての説明書を願書に添付する(5条1項柱書)。これは立体商標を正確に理解するためである。
  2. 審査段階
    1. 願書に立体商標である旨が記載されているが、願書に記載された商標が立体商標と認識できない場合には、商標法3条1項柱書に違反するとして拒絶される。これは立体商標として特定できないときは登録の対象が不明確だからである。
    2. 出願に係る立体商標が、その商品又はその商品の包装の立体的形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である場合は、商標法3条1項3号に該当するとして拒絶される。例えば、洋酒についての瓶の形状等。
    3. 出願に係る立体商標が、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標である場合は、法3条1項5号に該当するとして拒絶される。但し、以上の場合でも、使用により識別力を獲得した場合には、法3条2項の適用が可能となる。これは商標としての機能を発揮し得るからである。
    4. 出願に係る立体商標が、商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなる商標である場合は、法4条1項18号に該当するとして拒絶される。その商品自体等の生産販売の独占を許すのは自由競争を制限するからである。
    5. 願書への立体商標である旨の記載を追加、削除する補正は、原則として要旨変更となる(16条の2)。これは商標の同一性を損なうからである。ただし、願書の記載により立体商標又は平面商標と認識できる場合は、補正は可能である。
    6. 立体商標の類否判断は、基本的には平面商標の場合と同様である。
  3. 登録後
    1. 通常の商標権と同様に取扱われる(25条等)。これは立体商標も通常の商標と同様に登録要件を満たして登録されるため。
    2. 商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなる商標には、商標権の効力が及ばず、何人も自由に使用することが可能である(26条1項5号)。これは過誤登録等の場合、第三者の使用を確保するためである。
    3. 商標権が先願に係る特許権等と抵触する場合には、抵触する態様では登録商標を指定商品等に使用することができない(29条)。これは立体商標の指定商品等への使用が特許発明等の実施にも該当する場合があり得ることから、その場合には先願優位の原則により権利関係を調整するためである。
    4. 商標権と抵触する同日又は先願に係る特許権等の存続期間が満了した場合は、原特許権等の範囲内で不正競争の目的でなく登録商標と同一又は類似範囲において商標の使用をする権利を有する(33条の2,33条の3)。これは存続期間満了により特許発明等の実施ができないという不合理を先願優位の原則により是正するためである。

具体例

コカ・コーラの瓶」や「ヤクルトの容器」、「ゴルチエ香水容器」、「ペコちゃん、ポコちゃんのキャラクター人形」、「カーネルサンダース立像」などがある。