「是はもろこしのごかん(後漢)のめいてい(明帝)の御代に、かぶむと申ス老人にてさふらふ也」 と老翁(オヂ)、老嫗(ウバ)両人(フタリ)出(デ)て、己(オノ)がむすめの死(ミマカリ)し事をなげき、塚にをみなへし、おしこぐさの生たるを記念(カタミ)の色と見つつ、涙に袖をぬらしたるさま也。 また「姨捨山」を舞ふ。 いと/\恐(オソ)ろしく、むくつけき男(ヲノコ)の仮面(オモテ)かけ、髪ひげわゝけたるが出(イデ)ぬ。 またおなじさまに女の仮面(オモテ)に、髪は、おどろと乱レたる狂女の姿して出たり。 その女の詞に、 「旅の人に、ものとひまゐらせたくさふらふ」 男いらへて「いかにさふらふぞ」 女 「原部山…