「東欧SF傑作集(上)」が創元SF文庫の一冊として出されたのは1980年、当方の書棚に並んでいる書籍の中では比較的新しい出版だが、収録作はそれよりかなり前に書かれたもの、「上」と銘打たれていることが示す通り、下巻も同年、恐らく同時に刊行されている。 これら両者の位置付けは作品の年代に基づくものではなく、上巻はポーランド、ハンガリー、ブルガリアの、下巻の方はチェコ、ユーゴ、東独、ルーマニアの作家を取り上げた国別によるものである。 個人的なことを言えば、東欧のSFと聞くと、「R.U.R.(ロボット)」「山椒魚戦争」のカレル・チャペックと「金星応答なし」「ソラリス」などのスタニスワフ・レム、さらに共…