VHSで、アルノー・デプレシャン「そして僕は恋をする」(1996年)を観る。はじめて観たと思っていたけど、そんなことなかった。登場人物たちが次々と出てくる序盤で、うわ、これか!!と思った。始まるやいなや、何十年も封印されていた箱の蓋を、間違えて開けてしまった感というか、うわ…これは、かつて観ることのできなかった、観るのを拒否したかった、居心地の悪いアンビヴァレンツの記憶の揺り戻しがすごかった。これは自分にとってそんな作品であり、再生されたものを見て、もはやすっかり忘れていた(無かったことになっていた)過去が、ついに呼び起こされたのをぼんやりと認めるほかなかった。 もちろんそれは僕個人の勝手な思…