自然を忘れた現代人に魂のふるさとを思い起こさせる美しい声と,自然を破壊し人体を蝕む化学薬品の浸透,循環,蓄積を追究する冷徹な眼,そして,いま私たちは何をなすべきかを訴えるたくましい実行力.三つを備えた,自然保護と化学物質公害追及の先駆的な本がこれだ.ドイツ,アメリカなど多くの国の人々はこの声に耳を傾け,現実を変革してきた.日本人は何をしてきたか――. 持続可能な社会の実現には,環境汚染を自然の浄化能力が上回っていなければならない.エルンスト・ワイツゼッカー(Ernst Ulrich von Weizsacke)は1960年代を振り返って述べた.「1960年代には環境の世紀の到来を語った人は誰で…