無意識の操作とは、主体によって抑圧されている無意識を本人のコントロールを越えて開示することであるから、本人のコントロールの困難を支える他者や共同性が存在したり、また操作による自己変容について了解しうる意味体系他が存在しなければ変容前との主体の連続に困難が生じ、容易に心的疾患に陥る。無意識の自己操作において心的危機が起こりやすいことは、伝統的な達人宗教においても、白陰の『夜船閑話』といった禅病の克服記録に見られるように認識されていた。またトランスパーソナル学では、「スピリチュアル・エマージェンシー(霊的危機)」という概念を提示することで、無意識の操作や変容が他者の管理のない状態で起こるときに外見…