「プールでの水遊び、泥遊び、体に絵の具を塗って遊ぶボディーペイント、乾布摩擦、内科検診など。その多くは下半身や胸などを露出した半裸の状態で、全裸の園児が掲載されているケース」は児童ポルノ罪か 3号ポルノの「性欲を興奮させ又は刺激するもの」という要件の問題です。 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律 第2条 3この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の…
「送信させ」までをわいせつ行為とするものが増えてきました。 高裁レベルでは、「撮影させ」までなら強制わいせつ罪になって、「送信させ」はわいせつ行為には含まれないとされていて、地裁でこの高裁判例を紹介すると、「送信させ」が引っ込んだりします。東京高裁平成28年2月19日 そして,③については,画像データを送信させる行為をもって,わいせつな行為とすることはできない。 以上のとおり,原判決が認定した事実は,強制わいせつ罪の成立要件を欠くものである上,わいせつな行為に当たらず強要行為に該当するとみるほかない行為をも含む事実で構成されており,強制わいせつ罪に包摂されて別途強要罪が成立しないというような関…
児童に対する性犯罪に並行して盗撮行為が行われた場合の児童ポルノ製造罪の罪名について、姿態をとらせて製造罪説に仙台高裁r6.1.23が加わり、3対3で拮抗しました。 仙台高裁の事例は、当初、ひそかに製造罪で起訴され、大阪高裁r5.1.24の影響で姿態をとらせて製造罪に訴因変更され1審判決になったものですが、控訴審でひそかに製造罪が正解じゃないのかという法令適用の誤りが主張されたようです。 (1)姿態をとらせて製造罪説 ①大阪高裁H28.10.26*1(姫路支部h28.5.20*2) ②大阪高裁r05.1.24*3(奈良地裁R04.7.14*4) ③仙台高裁r6.1.23(仙台地裁r5.7.20)…
判例では、「送信させる」はわいせつ行為とされません。 裁判例では、自慰行為させるが伴う場合に送信行為がわいせつと評価されることが多いようです。 大阪高裁r03.7.14*1(京都地裁R3.2.3*2)判決速報 2 なお,前記(3)は,Aに対し,前記ダイレクトメッセージ機能を使用して,その陰部,乳房等を露出した姿態をとって撮影して被告人のスマートフォンに送信するよう要求し,Aにそのような姿態をとらせてそれを撮影させたという強制わいせつの事実(令和2年8月27日付け起訴状記載の公訴事実第1)と,同要求をし,Aにそのような姿態をとらせてそれを撮影させた上,その画像データ2点を被告人のスマートフォンに…
「送信させ」をわいせつ行為とした上で準強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪を観念的競合としたもの(大津地裁r5.10.26 確定) 判示第1は、当初起訴状は、児童ポルノ製造罪のみで、訴因変更で、準強制わいせつ罪が追加されたものです。 公訴事実の同一性がないという高裁判例が山ほどあるので、控訴して訴因変更の違法を主張すべきでした。 さらには、「送信させた」はわいせつ行為ではないという高裁判例も幾つかあるので、そう主張すべきでした。 大津地検で当初起訴状6/5と訴因変更請求書6/26を閲覧して確認しました。 強制わいせつ罪と製造罪は多くの高裁判例で併合罪とされているので、訴因変更許可は違法です。自然確…
児童ポルノ製造の包括一罪で科刑上一罪になりそうな「強制わいせつ、強制性交等、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件」松江地裁R5.6.28 今井判事は多数回の製造罪を併合罪にされますが、高裁判例では包括一罪です。 こういうのは、児童ポルノ製造の画像があるので、強制わいせつ罪・強制性交罪についても写っている通りの公訴事実にされることが多いのですが、最近は、強制わいせつ罪と製造罪、強制性交と製造罪を観念的競合にする高裁判例が出ているので、同一児童に対する数回の製造行為を包括一罪にする高裁判例と合わせれば、かすがい現象で、科刑上一罪になりますよね。未…
裁判例をみると、10歳で対償供与約束能力を認めるようですが 性行為の意味を理解しないと、性交等の対価というのも理解できないと思うので、刑法の性的承諾能力(13歳)とは別個に観念できるのでしょうか? 10歳とか12歳とかに、対償供与約束能力を認めて、性的承諾能力を認めないというのは矛盾です。 どうせ、6歳児童に「飴ちゃんやるから体触らせて」というのは、不同意わいせつ罪しか立てないわけです。 この辺は、児童買春罪ではなくて、不同意性交罪(177条3項)のみを検討すればいいと思います。 児童との約束の解釈については、通常の意思表示と同様で、意思能力の問題とか錯誤とか取消とかがありえるという解釈です。…
高裁判例が混乱しているが、就寝中の児童の着衣を脱がして撮影する行為は、姿態をとらせて製造罪(7条4項)であって、ひそかに製造罪(同条5項)ではないこと 坪井検事によれば「ひそかに」とは,「描写の対象となる児童に知られることのないような態様で」 という意味と解説されているので、寝ている児童の前であからさまにスマホをかざしていると「ひそかに」には該当しません。 最近、5項製造罪でもいいという高裁判決が出ていますが、「賛同できない」とか「同項の製造に該当するとした原判決の解釈が誤りであるとまで断ずるには足りない」とかで、積極的な理由が付されていません。姿態をとらせて製造罪説は、法文に忠実で、文献と判…
裸体を撮影送信させる行為について、高裁レベルでは強要罪説(岡山支部H22.12.15、東京高裁H28.2.19)から、強制わいせつ罪説(大阪高裁R03.7.14)に移りつつあるが、最高裁の判断がない状況。 警察に聞かれましたが、大阪高裁は実刑になっていますが、送信させる型強制わいせつ(リモートわいせつ型)は、量刑が軽めなので、1審と控訴審の未決が多くなっているのと、上告未決が何日もらえるかわからないのとで、上告できていません。 文献番号】 25470943 【文献種別】 判決/広島高等裁判所岡山支部(控訴審) 【裁判年月日】 平成22年12月15日 【事件番号】 平成22年(う)第100号 【…
裁判年月日 令和 5年 1月25日 裁判所名 松江地裁 事件番号 令3(わ)81号 上記の者に対する準強制わいせつ被告事件について、当裁判所は、検察官佐藤壇及び弁護人丸山創(国選)各出席の上審理し、次のとおり判決する。 主文 被告人は無罪。 理由第1 公訴事実の概要並びに争点及び判断の骨子等について 1 公訴事実の概要 被告人は、松江市〈以下省略〉において「a整骨院」(以下「本件整骨院」という。)の名称でマッサージ業等を営んでいたものであるが、施術を装って女性客にわいせつな行為をしようと考え、令和3年5月6日、同所において、別紙記載の女性客(以下「A」という。)に対し、Aが抗拒不能の状態にある…