かと思いきやまったく同時期、世間がなんと言おうとも、意固地なまでの一徹ぶりで新奇を拒絶し、旧習の中に根を張って不動の構えを示し続ける手合いもいるから面白い。 断固散髪を肯んぜず、ちょんまげを守り続けた漢たち。―― その筆頭は、なんといっても「鉱山王」古河市兵衛こそだろう。 (Wikipediaより、古河市兵衛) 国会議員の芳野世経、文人画家の服部波山、「最後の剣客」榊原鍵吉、そして馬術の草刈庄五郎――ちょんまげ堅守を宗旨としたのは、傑士の中にも意外と多い。 並み居る群雄をそれでも抑えて、古河が君臨する所以は何か。財閥創始者という世間的地位もさることながら、やはり以下の演説が与って大いに力ある。…