画学生時代に憧れていたダーウィントの色鉛筆、その中でもずっと欲しかったインクテンスは円安と不況のお陰で気楽に買えない値段になった。 っても、絵にまた入る勇気はないけど。 そのインクテンスは描いてから濡らすと水彩になり、乾くと耐水性を持つから繊細な作品を描けた友人が色のかさねをいかした使い方をしていた。 あれは美しかった。 美しいものを残して彼女は死んでしまった。 明石の女学生時代はステッドラーの水彩色鉛筆の使い方を教えてくれた人でもあった。 彼女が上京してくる場合は、当時は西神田3丁目の白泉社に用がある時で、(私が世話になっていた戦記雑誌の丸の旧社屋、編集部があった場所の極近所、)最寄りの国鉄…