基本的に知らない人と仲良くしゃべるのが苦手なので、山では山小屋の方以外とは、ほとんどしゃべりません。 北アルプスにある水晶小屋で一息ついていたら、 「何かおごらせて」 と、到着したばかりの年配のご夫婦に言われたことがあります。 「ビールでいいかな?」 えっと… おごっていただく理由がありませんので、けっこうです。 「カミさんが途中でバテててしまって。でもひとりで登っているあなたの姿がずっと先に見えていて、励みになった。その服、目立つねぇ〜」 ふぅん、水色は目立つのね。 そうじゃなくて! 私が見えたことが、よかったのでしょうか。 「あなたもときどき休みながら、最後の坂を登っていた。みんなも疲れて…