701話 サーナット卿はラティルに口を重ねてもいいかと尋ねました。 ◇メトロノーム◇ その言葉に驚いたラティルは 目を大きく見開きました。 しかし、サーナット卿は、 冗談を言っているような顔では ありませんでした。 なぜ彼は、急に今、 そんなことを言い出したのか、 ラティルは訳が分からず 混乱していました。 ラティルは我慢できなくなって なぜ? と尋ねました。 サーナット卿は、 断るのですか? と、もう一度尋ねました。 彼の声には、 笑いが混じっていました。 ラティルは、 サーナット卿の顔を見上げました。 華やかに彫刻された天井よりも、 彼の顔の方が美しいと思いました。 彼女はゆっくりと手を上…