宿舎に到着した晩、言われた言葉に自分を恥じた。「物見遊山で被災地に来ても構いません。現地に行けば、必ず『何かしたい』という気持になります」---------------- 今日の現場は前日に続いて、津波で浸水した家屋の泥出しだった。民家の庭一面に広がった汚泥をスコップで土嚢袋に詰めていく。汚泥はガラス片や得体のしれない腐敗物を含み、その厚みは10センチほどだろうか。湿って粘りのある土は重く、一時間もやっていると腰が痛くなる。土嚢は集積所まで一輪車で運ぶのだが、15kg程の土嚢を5つも乗せると結構重い。積み方が悪く、バランスを崩して何回も転倒した。泥出しは体力勝負の現場だ。 隣の家を見ると、やけ…