夜明け前、ふと目が覚めて故照屋眞理子さんの短歌、月刊『短歌』角川書店で昔出合った、投稿された短歌が浮かぶ。どんな歌かまでは浮かばなかったが、当時瞠目した。昼、『千歌燦然 塚本邦雄選〔公募短歌館〕入選作品集成』書肆季節社 一九八四年十二月予約者のみに制作刊行 を開く。『短歌・昭和五八年三月号』「第七十一回 公募短歌館」、「特選」七首の二番手。 〈時の流れ(レール・デュ・タン)〉終(つい)の一滴馨(かを)りたち掌上軽し一壜の虚無 この短歌に中井英夫の長編ミステリ『虚無への供物』を想起した。そして彼女にファンレターを投函した、と思う。旧知の中井氏にも連絡しただろう。「選後評」にはもう一首が紹介されて…