無計画停電

*1:但し、謂う所の「計画停電に対して批判的な向き」の少なくとも一部には、計画停電の実行過程に於ける様々の不備（一例を挙げれば、停電諸区域への確実なる周知の不徹底）と不正（例えば下町への狙い撃ち！）とを糾弾する以前に、以前の、当然ながら暑苦しい盛夏――即ち一年の中でも最も大量に電力が消費せられる期間――に於いて、原発の相当な基数が停止中であったにもかかわらず、例えば1987年に生じた「東京大停電」の如き危機的事態に全然立ち至らなかったことなどを強力な論拠として、そもそも計画停電の必要性をすら疑ってかかる勢力が存するのだが、この場合に於ける「無計画停電」ということになると、これはこれで、一つの或る特定の目的を持った計画性の下に遂行せられているものと少なくも彼等によっては想定せられているらしいのである以上、これもまた或る種の、「水面下」に於ける謂わば《もう一つの計画停電》と名付けうる、一般公衆には一般には隠匿せられているところの或る「シナリオ」であると解釈することが可能となって来はする。無計画停電が、実は或る別の種類の計画停電に他ならぬと全然規定しえないわけでもない所以である。