なつかしき 色ともなしに 何にこの 末摘花《すゑつむはな》を 袖《そで》に触れけん 〈常陸宮の姫君が末摘花(ベニバナ)とよばれるきっかけになった歌〉 by 源氏の君🌺 〜心惹かれる色(紅花の赤色)というわけでもないのに、 どうしてこんな、末摘花のような女性を袖に触れ(手を出し)たのだろうか 【第6帖 末摘花】 「君の所へ留めて置かれたらたいへんだよ。 着物の世話をしてくれる家族もないのだからね、 御親切をありがたく受けるよ」 とは言ったが、 もう戯談《じょうだん》も口から出なかった。 それにしてもまずい歌である。 これは自作に違いない、 侍従がおれば筆を入れるところなのだが、 そのほかには先生…