自分はボードレールを、象徴派などの側面において扱うことが主なので、知識にいささか片寄りがあるように思われた。なので、ボードレールに関する研究書をいくつか繙いてみて、把握しておきたいと思ったことを書きとめておく。 ボードレールは、1863年「フィガロ」紙に発表した『現代生活の画家』と題した評論において、「モデルニテ」なる概念を提唱した。当時フランスにおけるロマン派の古典主義に対する反発として、「現代の美」なるものを訴えたのである。古代芸術を模倣するのではなく、現代生活に特有の美を発見しそれを芸術へと昇華せしめるべきという主張だ。ボードレールの言う「モデルニテ」というのは、特定の時代区分を示すので…