本を棄てる準備をしているが、すでに廃棄した本の「抜き書き」ノートも多数ある。これを読み返すと面白くて棄てるには惜しい気もする。だからネット上に少し残してみよう。誰か興味を持ってくれるかもしれない。 今回のタネ本は古本屋経営者でもあった作家出久根達郎氏の『万骨伝』。副題にある「饅頭本」というのは古書業界用語で、人の死去や顕彰などに際して出される饅頭みたいな「記念出版物」のこと。たくさんの人のエピソードが掲載されている。選んだのは演劇批評家・作家の岡鬼太郎(1872 - 1943)が残した1926年頃の「江戸弁」噺で「田舎言葉」と対比している。以下、カッコ内は田舎弁で当時は正しくない用法。(なお、…