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おたふく風邪

(サイエンス)
おたふくかぜ

おたふく風邪は、流行性耳下腺炎の通称。
定点報告対象(5類感染症)であり、指定届出機関(全国約3,000カ所の小児科定点医療機関)は週毎に保健所に届け出なければならない。また、学校保健安全法における取り扱い(2012年3月30日現在)では第2種の感染症に定められており、耳下腺、顎下腺又は舌下線の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで出席停止とされている。

概説

ムンプスウイルスの感染により起こる病気。ムンプスウイルスは麻疹ウイルスと同じくパラミクソウイルス属に分類され、世界中に分布している。流行は通年だが、冬から春先にかけて増加する傾向がある。
現在の罹患者の大部分は予防接種未接種者で、潜伏期は14〜24日くらい。罹患者との直接の接触や飛沫・唾液などから感染する。不顕性感染が罹患者の1/3くらいと多いのも特徴で、このため感染経路が不明のこともよくある。
ムンプスウイルスははじめ気道に感染し、このあと血液を介して全身に運ばれ、唾液腺などに感染を起こす。

症状

多くの場合、頬の痛みと腫れで発病に気づく。発病前に首の痛みや頭痛を訴えることが時にある。頬の腫れは1〜3日でピークに達し、その後3〜7日くらいでひいていく。片側の頬部(耳下腺部)の腫れに気づいてから、1〜2日後に反対側が腫れてくることもよくある。中には一方の耳下腺の腫れだけで終わることもある。耳下腺が腫れている時に発熱を伴うこともあるが、多くの場合軽い発熱で40℃を超えることはあまりない。5人に1人くらいは発熱がみられず、発疹も通常はみられない。おたふくかぜの罹患時におよそ20人に1人くらいの割合で髄膜炎(ムンプス髄膜炎)を発症する。
主な症状は激しい頭痛と嘔吐、発熱。大部分は後遺症もなく治っていくが、入院は通常必要となる。まれに死亡や難聴などの後遺症がみられることもある。
睾丸炎は思春期以降の男性罹患者に比較的多く(20〜30%)みられる。発熱、下腹部痛、睾丸の発赤、腫れ、痛みが主な症状。

診断

通常は特徴的な頬部(耳下腺部)の腫脹と痛みがあれば診断できる。地域でおたふくかぜの流行がみられているとの情報があればより確実。耳下腺炎による血液中および尿中のアミラーゼという酵素の濃度の上昇がみられる。診断の補助として尿検査が行われることがある。診断を確定する必要がある場合は採血し、血清中の抗ムンプスウイルスIgM抗体の上昇、または病初期と2週間後とで比較した抗ムンプスウイルスIgG抗体の4倍以上の上昇を証明する。咽頭ぬぐい液や尿、髄液などよりウイルス分離によりムンプスウイルスを証明するという方法もあるが、結果を得るまでに時間を要す。

治療・予防

流行性耳下腺炎およびその合併症の治療は基本的に対症療法であり、発熱などに対しては鎮痛解熱剤の投与を行い、髄膜炎合併例に対しては安静に努め、脱水などがみられる症例では輸液の適応となる。
効果的に予防するにはワクチンが唯一の方法である。有効性については、接種後の罹患調査にて、接種者での罹患は1 〜3%程度であったとする報告がある。接種後の抗体価を測定した報告では、多少の違いがあるが、概ね90%前後が有効なレベルの抗体を獲得するとされてい る。
ワクチンの副反応としては、接種後2週間前後に軽度の耳下腺腫脹と微熱がみられることが数%ある。重要なものとして無菌性髄膜炎があるが、約1,000〜2,000人に1人の頻度である。また、以前にはゼラチンアレルギーのある小児には注意が必要であったが、各ワクチンメーカーの努力により、 ムンプスワクチンからゼラチンは除かれるか、あるいは低アレルゲン性ゼラチンが用いられるようになり、ゼラチンアレルギー児に対しても安全に接種が行われ るようになってきた。
患者と接触した場合の予防策として緊急にワクチン接種を行うのは、あまり有効ではない。患者との接触当日に緊急ワクチン接種を行っても、症状の軽快は認められても発症を予防することは困難であると言われている。有効な抗ウイルス剤が開発されていない現状においては、集団生活に入る前にワクチンで予防して おくことが、現在取り得る最も有効な感染予防法である。

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