ファウスト(二) (新潮文庫)作者:ゲーテ新潮社Amazon 今月はゲーテ関連の本をいくつか読んできた。そして最後に『ファウスト 第二部』を読み終えた。 だが、どれを読んでも今の私には何かしっくりこない。読めば糧になるだろうことは分かるのだが、それ以上に私の心に迫るものがない。 人は生きて努力する限り迷うものである。あらゆる学問を修め、あらゆる官能を味わい尽し、それでも満足しなかったファウストは、公共事業に人を使役して公共性への没我に浸り、ようやく恍惚境の絶頂に至って絶命する。契約通り悪魔の自由になるはずだった彼の魂は、永遠の女性的なるものに導かれて昇天する。かつてグレートヒェンと呼ばれ、ファ…