<その先へ 憲法とともに②> 扉を開ければ、ここは精神科医療史資料室。5000冊は超えるだろうか。精神関係のあらゆる書籍が眠る。 「ようこそ」。書棚の向こうから顔をのぞかせたのは精神科医、岡田靖雄さん(93)=東京都杉並区。この国の精神科医療の生き字引と言っていい。 平和や憲法について話す岡田靖雄さん ◆資料室の名前にこだわった理由 私財を投じて2005年に創設したこの資料室は「青柿(せいし)舎」と呼ばれる。精史舎にする案もあったが、古くから人々の生活に恩恵をもたらしてきた「柿」にこだわった。「柿の半分は初夏に地に落ち、落ちた青柿(あおがき)は生食には向かないが、発酵させた柿渋は防虫や防腐など…