銚子と徳利 銚子は酒を杯に注ぐ用具で、古くは注ぎ口のある鍋形の容器につるをつけたものでありました。 室町時代になると、つるの代りに長柄をけたものも出て参りました。 前者はつるを手で提げるので提子(ひさげ)、後者は長柄を持って注ぐので、長柄銚子と申しました。 これらの多くは銅製、または木製漆塗りで、陶磁器製のものはあまりありませんでした。 それが後世になると、酒瓶類も皆、銚子と呼ぶようになりました。 徳利は、一般に口が細く、胴がふくらんだ丈の高い陶製の瓶のことをいいます。 古くは、酒のほか酢や正油も入れました。江戸時代になり、酒を温めて飲む、かん酒の風習が起こりまして、はじめはかんなべなどで酒を…