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暴力革命

(社会)
ぼうりょくかくめい

暴力革命とは、武力を用いた革命を指す。武力革命、武装革命と同義語であり、平和革命の対義語。


暴力革命の系譜は、世界史の様々な時代と諸段階とに確認せられるが、狭義の意味での「暴力革命」となるとこれは、マルクス、エンゲルス(いわゆる「マル・エン」)の主として『共産党宣言』に始まる共産主義革命(社会主義革命)理論の諸系譜*1を第一義的には指すことが多いに違いない*2
その後かかる系譜の主流(メインストリーム)は、様々の諸支流へと分岐してゆくことになるが、その中でも独自の思想的色合いに於いて傑出せるまさに出色の人物を挙げろともし命ぜられたならばそのとき我々は先ず、レフ・トロツキーの名を挙げることが出来るかもしれぬのだが、彼のあの有名な地政学的諸戦略に対して深甚なる異議を唱える向きも決して珍しくはない。


さてところで、諸外国に於ける上述の諸系譜のその後の流れの概述は本稿では割愛するとして、我々の視線の焦点を我が国の諸動向に以下では合わせてみよう。
我が国に於いて暴力革命と言う場合は、1950年代前半の、日本共産党のいわゆる「51年綱領」の「軍事方針」に基づく武装闘争路線が先ず想起、或いは参照されることが多い。
また「スターリン批判(「反スタ」)」および「ハンガリー動乱」、さらには前述の「日共」の謂う所の「六全協」に於ける大幅な方針転換(即ち、「五全協」の「51年テーゼ」の棄却)等を受けてそれらの後本格的に結成され、また頭角を現しつつあった我が国に於ける新左翼運動の諸派の中にも、武力革命論的色彩の強い諸戦略を採る分派、或いは謂う所の「セクト」は少なくない、と我々はおそらく言い得るだろう。
以上の日本共産党および日本に於ける新左翼諸派の政治運動的諸流路の只中を貫通せる政治的諸脈絡はさらに、のちのいわゆる「全共闘運動」へも様々の紆余曲折と諸変容とを遂げつつも或程度は流入していると見るのが自然であろう。


現在の我が国の政治情況にあっては一見する限りでは、以上に於いて主題的に述べられて来た暴力革命的な政治的諸路線は、ほとんどその命脈を既に絶たれて久しいものと観ぜられる。しかしながら目を再び諸外国の特に緊迫せる諸情勢へと転ずるならば、そこでは様々の諸暴力の激越なる渦動がまさに激しく蜷局を急激に巻いているのが明瞭にさえ看取せられうるのであって、殊に世界のまさに「グローバル化」が各方面に於いて声高に唱導すらせられている現今の多元的世界情勢をもさらに鑑みるならば、今後の政治運動的各路線にあって、過去の諸事態そのものの復活は想定し難いとは言え、旧来の暴力革命路線の何らかの政治運動上の継承者や或いはエピゴーネン(模倣者)らが出てくるとも限らないのであり、しかもこの場合、冷戦下の政治的秩序体制の崩壊から既に長い年月が経っていることもある以上、それがいわゆる従来型の旧態依然たる「左」の陣営に必ずしも限定せられることなのではないことが容易にさえ予想されうるのである。
また、暴力革命路線という物理的な眼に見える形の言うなれば《可視的暴力》よりは寧ろ、我々の目には直接には触れる機会の少ない《不可視の非物理的な諸暴力》の方が、政治を初めとする諸問題を考える上では極めて深刻でさえある論点を構成しうると思念せられうるが、無論かかる論争点の概観的概説さえも、本稿のよくこれを為しうるところではないのだから、ここが擱筆せらるべき地点であると確信しつつまさしくここに筆者は筆を静かに、音もなく擱く者である(だってワープロだものね!)。

*1:もっとも後年になるとマルクスの暴力革命支持を高らかに打ち出したかかる理論に於けるその声色は相当にトーンダウンしたし、エンゲルスに至ってはこれらについて、「あの旧式な反乱、つまり1848年までどこでも最後の勝敗をきめたバリケードによる市街戦は、はなはだしく時代おくれとなっていた」と断言している程である。

*2:尤もこの系譜に先立つその先駆者としての、フランス革命時代の異端的天才たるフランソワ・ノエル・バブーフ(François Noël Babeuf、1760年11月23日 – 1797年5月27日)、および或意味ではその政治思想的嫡嗣とも十全に目されうる、ブランキズム(ブランキ主義)の開祖;ルイ・オーギュスト・ブランキ(Louis Auguste Blanqui、1805年2月1日 - 1881年1月1日)という二人の怪物的傑物の革命論的枢要性は、この問題を考えるにあたっての我々の、決して忘失すべから重大なる諸論点の中核部分をこそ構成するところであろう。

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