ソルはリベルト外務卿の手引きで牢を抜け出した。見張りの牢番もソルの逃亡を防ごうとしない。何の苦労もなく、あっさりと外に出て、さらに城の奥に辿り着くことが出来た。 これも国王に対する裏切り行為。そうソルは思い、ナーゲリング王国の脆さを感じたものだが、これには少しソルの知らない事情がある。リベルト外務卿はソルがシュバイツァー家の人間であること、そしてこれから王都で絶望的な戦いが始まることを、協力してくれた人たちに伝えていた。彼らは、王家の為に働いているつもりだったのだ。そうだとしても、ユーリウス王の命令を確かめることなく、ソルを逃がしたというのは、組織の脆弱さを示すことに変わりはない。滅びゆく国と…