ジェシー•ケラーマン著/林香織訳 ☆☆★ 早川文庫原題は『POTBOILER』で、訳者あとがきによれば、「金目当ての通俗小説、もしくはそうした作品を書く作家のこと」だそう。 導入は、ベストセラー作家が死んだ、というところから始まる。いわゆる国際スパイ小説の作家で、主人公は彼の旧友で、作家を志したのは早く、一冊は本を出したが、あとが続かなかった。 彼の家を訪ねると、これまた元カノでもあった未亡人と、未発表原稿に出会う。 このへんまでは、よくある「作家小説」で、未発表原稿を手を加え(この手の作品では珍しく、主人公には文才がある)た上で自分の小説として出版し、念願のベストサラー作家になる。…