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劣化ウラン弾

(一般)
れっかうらんだん

depleted uranium ammunition(英)

弾体(弾芯)に劣化ウランを使用した重い弾丸・砲弾のこと。主に対戦車機関砲・近接防御システム・戦車砲などで用いられる。

劣化ウランは密度が高い(重い)物質であり、また、物理的特性から高い貫通力を持ち、強度も大きい。また着弾時にかかる圧力と摩擦熱によって自ら発火、燃焼することによる焼夷効果があることから、弾頭として極めて望ましい特性をもつ稀有な素材とされている。
劣化ウランを使用することで、炸薬を使用しなくても目標を破壊できる弾頭が製造可能となる*1。現在のところ、米軍を中心に艦船に搭載される近接防御火器システム(CIWS)や、対戦車用の戦車砲弾(APFSDS弾)などで使用されている。原理上は一定以上の口径を持つ火器で使用可能である*2

核廃棄物を再利用するため、同様に硬度が高いタングステン弾芯などに比べると安価であるとされている*3ものの、使用済み弾丸から出る放射能(α線)の問題も懸念されている。

しかし劣化ウラン弾による健康被害については、疫学的に有意なデータを集めるまでには至っていない。WHOでは因果関係を示すデータは無いとの発表を行っていることから、健康被害説を主張する医師らはその姿勢を批判している。だが現在の所は、健康被害説の否定・肯定両者がデータの信頼性・妥当性のレベルで水掛け論的な論争を繰り広げる状態が続いており、何らかの結論を得るには相当な時間がかかるものと考えられる。

なお、劣化ウラン弾は重金属であるがゆえの「化学毒性」も持ち合わせているため、健康被害については「放射線被曝」以外の原因が存在する可能性がある事を考慮に入れる必要がある*4

*1:高密度弾頭の持つ高い運動エネルギーと、貫通性の高さのため

*2:経済的には現実的ではないが

*3:ただし、先のセンテンスで触れられているように、発火性の高さは加工時の大問題であり、生産段階ではこれに対応した設備が必須である。原料が安くとも、製造コストでは在来型弾頭を超える部分が出る

*4:そもそも重金属粉末を呼吸で取り込めば、肺組織その他を傷つけるのは理の当然であり、劣化ウランも例外ではないはずである

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