謝ってくれてもいいのに 悪さを理解し、その気持ちをすみませんの一言で表現してくれたら、わたしはこんなに苛立ったりしなかっただろう。 ごん。 鈍い音。 程よく重い素材どうしがぶつかったような、そんな音がした 音がしたほうをみると、おじさんと目が合った チェックの服に帽子、今日はそんなに夏っぽい日だろうか。そんなことはどうでもよかった。 あなたでしょう。 それはつまり私の乗っていた車に あなたの開いた車のドアがぶつかった音だった 確実に目が合った、 のに、あなたは何も言わずに運転手の女性と言葉を交わす。 何事も無かったかのように。 こんなこと、日常のひとコマにすぎない。 誰かにあたったわけでも、大…