チャイコフスキー五番 この数日は、チャイコフスキーの第五交響曲を何人かの指揮者の録音を聴き比べて楽しみました。私がチャイコフスキーを聞くことはめったにありません。十代のころはよく聞いていましたが、長く聴いてゆくうちにどうにもフラストレーションがたまって行くようになりました。 五番は奇麗な曲ですし。面白い曲ではあるのですが、深みに欠けます。曲は重たく暗く始まります。初めから憂鬱です。そして全編悩み続けます。第二楽章なども、のどかで平和な曲なのですが、突然脅迫されたかのような激しいドラムの強打が襲って来ます。一体何に怯えているのかが分かりません。悩みは最終楽章まで続きます。得体の知れない不安感に苛…