1977年、Apple Computer,Incが世に送り出したコンピューター。コモドール社のPET2001とともに、完成品として販売される最初のパーソナルコンピュータ*1といわれる*2。280X192の疑似6色カラーグラフィック、フルキーボード、Basic言語とアセンブラ・逆アセンブラ機能付きモニタプログラム*3、汎用拡張バスを有しており、現在のパーソナルコンピュータの原型を作ったともいわれる。AppleIIの周辺機器との接続などは、この拡張バスを用いて実現され、プリンタ用I/F(RS-232CやGP-IBなど)、フロッピーディスクI/F*4などで8本(用途には一定の慣習があったので、実際に自由に使えたのはそのうちの4本くらいだったが)あったはずの拡張スロットには拡張カードがいっぱい、というケースも少なくなかった。この拡張バスの汎用性は高く、CPUそのものをすげ替えるCPUボード*5まで登場し、現在のパーソナルコンピュータの可能性を示す実験場としての機能を持っていたといっても過言ではないだろう。世界的に大ヒットし、米国の教育現場などでは、90年代中期まで現役の地位を保った。
*1:それまでに売られていたパーソナルコンピュータは、購入者が自分で組み立てるキット形式だった。
*2:PET2001とAppleIIに、タンディ社のTRS-80シリーズをあわせた三つを、米国の初期パーソナルコンピュータ御三家というときもある
*3:当時のパーソナルコンピュータは、FDDやHDDが一般的ではなく、ROM内にOSを備えるのが普通であった。また、そのOSの役割は、しばしばBasic言語システムと渾然一体のものとして実現されていた。ただし、PC-8001などの初期パーソナルコンピュータがBasic/ROMOSの拡張としてFDDなどの外部記憶装置を取り扱うのに対し、AppleIIの場合はROM-OSを基本としながらもFDDシステムはそれとは独立したAPI群として実装する設計思想を採っていたため、様々な言語や処理系が共通のFDDファイルシステムの上に構築するという極めて近代的なやり方が実現できていたなど、特筆すべき点も多い。
*4:デバイスドライバを書き込んだROMと数個のTTLだけで構成され、後はソフトウェアでドライブを直に操作するという芸術的にアクロバティックな構成であった。
*5:AppleIIの初期型はCPUに1MHzの6502を採用していた(後期には65C02、或いは16ビット版として65802を採用するものも登場した)が、それを4MHz6502にすげ替えるもの、或いはZ-80&CP/M-80ボード、6809&OS-9、果ては8086&MS-DOSボードや68000&OS-9/68Kボードまで出現した