ICRP

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あいしーあーるぴー

International Commission on Radiological Protection: ICRP国際放射線防護委員会)は、専門家の立場から放射線防護に関する勧告を行う民間の国際学術組織である。ICRPが出す勧告は、日本を含む世界各国の放射線障害防止に関する法令の基礎にされている。ICRPイギリス非営利団体として公認の慈善団体であり、科学事務局の所在地はカナダオタワに設けられている。その成果は報告書としてまとめられICRP publcationシリーズとしてアイソトープセンターから邦訳が出ている。その議論には日本からも専門委員が参加しており、2011年福島原発事故に際し政府参与として呼ばれた小佐古敏壮氏も委員を経験している。


ICRP放射線防護の立場から、100mSv以下の低線量被曝による健康影響についてLNTモデル(敷居値なしで線量−影響関係は直線関係)を採用しており、これ以下の線量(mSv/年間など)であれば健康被害は出ないという安全上の敷居値は存在しないとの考え方でその勧告を行っている。その基本的な考え方は必要でない限り放射線はなるべく浴びるべきではない(ALARA:As Low As Reasonably Achievable)とのものである。一方原発作業員など職業的に被曝を避けられない人に対しては、放射線による健康被害発生のリスク(可能性)と、それによる利益との兼ね合いで基準を定めるべきとの考え方で基準を作成して勧告している。また事故時の住民の被曝限度(目安)については住民個人の意思や尊厳、自由を尊重する哲学が背景にあるとしている(ICRPクリス・クレメント氏談、2011年6月19日朝日新聞GLOBE面)。

http://www.icrp.org/



2011年福島原発事故に際して)

ICRPは2007年の勧告で、1年間の被曝限度となる放射線量を平常時は1mSv未満、緊急時には20〜100mSv、緊急事故後の復旧時は1〜20mSvと定めている。ただし、事故後も住民が住み続ける場合は1〜20mSvを限度とし、長期的には1mSv未満を目指すべきだとしている。ICRPは事故後、改めてこの勧告内容を日本政府に求めている。

 これを受けて、文部科学省福島県内の学校の屋外活動の放射線の目安を当面20mSv(年間)とする通達を出し、大きな社会的波紋を呼んだ。また、日本政府は、福島県原発近傍など強制避難地域の設定には基本的に20mSv(年間)を基準とした施策を打ち出している。文部科学省はその後、学校活動について1mSv(年間)を目指すとの方針を打ち出したが当面の目安はそのままである。

(参考)

http://en.wikipedia.org/wiki/International_Commission_on_Radiological_Protection

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E6%94%BE%E5%B0%84%E7%B7%9A%E9%98%B2%E8%AD%B7%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A