永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編 (光文社古典新訳文庫) 作者:カント 光文社 Amazon 認識論にしろ道徳哲学にしろ『三批判書』の中で、カントは一貫して「理性的存在者」(vernüftiges Wessen)の視点から自らの批判哲学を展開する。 一方で『単なる理性の限界内の宗教』では、人間の心情の邪悪さは「選択意志」(Willkür)の「性癖」(Hang)であるとして、カントは「人間は生来悪」(Kant,1793,32)であると明示する。 すなわち、カントは人間に「悪への自由の可能性」(藤田,2004,144)を認める。 いかにしてカントはわれわれの「悪」と向き合い、「道徳法則」(m…