対象aを把握することの困難は、それが対象と名づけられているにもかかわらず、何の対象性ももっていないことである。対象性のない対象とは逆説的な表現であるが、それは対象aが現実界(Réel)を表す対象であることに由来する。通常われわれにとって対象とは目に見えるもの、言葉で表されるものを意味している。だが真に現実的な対象を捉えようとするときは、われわれの前にある対象の想像的次元と象徴的次元を抽象しなければならない。そしてその後に残るものが対象性のない対象なのである。 (向井雅明『ラカン入門』より「第Ⅱ部第五章 同一化と対象a」 p.324) 書き忘れていたことがひとつ。昨日は(…)と(…)からもLIN…