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iAds

(コンピュータ)
あいあどす

iAds

モバイル広告ネットワークサービス。米Appleが6月7日(現地時間,日本時間8日)、サンフランシスコで開催中の開発者カンファレンスWWDC 2010において、発表。2010年7月1日からサービス開始。6月24日発売の「iPhone 4」を含むiOS 4搭載端末*1向けにアプリ内広告を配信。
iAdsでは、ビデオ、ゲーム、広告内でのコンテンツ購入など様々な機能を広告に組み込んで配信可能。テレビ広告の表現力とオンライン広告の双方向性を兼ね備えた、これまでにない広告が可能になるとAppleはアピールした。従来のアプリ内広告と異なり、広告を閲覧するためにブラウザやメディアプレーヤーなどを起動する必要がなく、ユーザーがアプリ内にとどまり続けるのが特徴。iAdネットワークに参加する開発者はアプリ内に、ビデオ、ゲーム、ダウンロード機能など、さまざまなフォーマットの広告を組み込める。広告の販売と配信はAppleが行い、開発者は売り上げの60%をiTunes Connect経由で受け取る。このことから、今後のさらなるアプリ開発を促進する意図がうかがえる。今回の発表ではiPadについては触れられていない。

サービス規模

Appleによると、2010年6月8日現在、iOSデバイスの販売台数が1億台を突破することから、iAdが広告を配信できる対象デバイス*2の潜在的な規模は大きい。iAdsが多くのユーザーにリーチするということは、開発者にとっての新たな収入源が増えるということを意味する。これにより、開発者は無料あるいは低価格のアプリを開発し続けることが可能になる。

広告主

2010年6月8日現在、すでに日産、AT&T、Best Buy、Chanel,、Citi、GE、Target、TBS、Unilever、Walt Disney StudiosなどがiAdを通じた広告キャンペーン展開に乗り出している。WWDCの基調講演では、日産の電気自動車リーフの広告がデモで披露された。

目標売上高

2010年下半期のみで6000万ドルを超える見通し。これは同時期の米国のモバイル広告支出のほぼ半分に相当。

開発背景

アップルの最優先課題は、グーグルへの挑戦。モバイルマーケットで Android より早く大きなシェアを制することだと噂されている。従って、アップルは全社を挙げてiPhone OS 4に焦点を絞っていた。 Steve Jobs のキーノートを見た John Gruber氏はその例としてiPhone OS 4のマルチタスキングと iAd を取り上げて説明している。ここではiAdについて取り上げた説明を一部引用、省略して掲載する。

■検索よりも広告収入

アップルとグーグルのライバル関係が戦争状態に突入して以来、アップルが自らの検索エンジンを発表するのではないかという観測が高まっている。というのも、検索はこれまでも、そしてこれからもグーグルの最大のサービスであり続けると考えられているからだ。つまり、検索ではアップルよりもグーグルに軍配があがっており、この分野の専門知識を完全に欠いているアップルにとって、グーグルに闘いを挑むのはあまり意味がないということだ。しかしグーグルがカネを稼いでいるのは検索からではなく、広告からカネを稼いている。だからグーグルをやっつけたいのなら、広告収入を狙うべきなのだ。

■モバイルデバイスなら

広告をめぐる戦場の一つとして考えられるのは、モバイルデバイスだ。というのも、この分野ならアップルがリードしているためだ。しかし、今や Android は iPhone にとって最大の脅威となり、モバイル広告の優先度を上げることを余儀なくされた。マルチタスキングの場合と同じように、iAdでもアップルが広告のサポートを iPhone OS に組み込もうとしているのは明らかである。

■グーグルへの挑戦

イベントでの Jobs の iAds 売り込みは、グーグルへの闘志を感じさせたという。まず彼は、デスクトップと違ってモバイルでは、検索は広告の手段として十分ではないことを強調した。iPhone では、みんなは検索なぞせずに、アプリを使っている。だからモバイル広告に最適の場所はアプリの中というわけだ。「検索」と彼がいうときは「グーグルの検索」をおそらく指しているだろう。まずこれがグーグルに対する第一撃だ。

■感情のこもった広告

それから Jobs は iAds のデモをして見せる。リッチで、映画的で、インタラクティブなソフトウェア広告だ。まるでネイティブな iPhone アプリのように見えるが、HTML5 だけで書かれたものだ。(この点はアドビに対する攻撃にもなっている。)Jobs が繰り返し口にしたのは「emotion」(感情)ということばだった。デザインによるものであり、優れたテレビコマーシャルや雑誌の全面広告に感じるものだ。これがグーグルへの第二の攻撃だ。グーグルの広告は効率的かもしれないが、感情のこもったものではない。Toy Story 3 の iAd デモを考えて欲しい。これに匹敵するどんな広告をグーグルがやれるだろうか。

■優れたクオリティ

広告なんてどれも軽蔑すべき嘘っパチと考えるひとがいる。たしかに媒体(テレビ、新聞、雑誌)の如何を問わず、そのような広告もある。しかし中にはアートと呼べるものもあるのだ。もちろん商業的アートのことだが、アートであることは間違いない。大部分のオンライン広告は、モバイル広告かどうかに関わらず、この優れたクオリティーを欠いている。モバイル広告のクオリティーを高めようとするアップルの試みが iAds というわけだ。

■狙いは広告業界とデベロッパ

iAds に込められたアンチグーグル的メッセージは二つだ。まず、モバイル広告にとって検索では十分でないということがひとつ。二つ目は、グーグルには感情豊かな広告プラットフォームは決して造り出せないということ。デザインを尊重するアップルとは異なり、グーグルは論理的で、エンジニア主体だからだ。iAds の売り込みは一般消費者に向けられたものではない。それは広告業界のクリエイティブなひとたちと、文字広告以上のものをアプリの中で試してみたいと思うクリエイティブなデベロッパに向けられているのだ。

*1:iPhone 3GS、iPhone 3G

*2:初代iPhoneや初代iPod touchはiOS 4にアップグレードできない

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