このところハマっている今村翔吾の『くらまし屋』(ハルキ文庫)である。今村ファンの皆さんと比べると周回遅れでお恥ずかしいばかりだ。取っつく前は、単なる市井の時代物と思っていたので、手が出なかったんですね。 人に薦められたこともあって読み始めたのだが、池波正太郎や山本周五郎のようにはのめり込めないんですわ。なんていうのかな、江戸風情が漂ってこないというか・・・。 今村さんは昭和59年生まれだから、江戸の情緒などすでに霧消している時代だった。まだ下町の裏路地に入れば、江戸の町がそのまま残っているような池波さんたちとは時代の体験は圧倒的に違うんだろう。それでも今村さんは資料や文献などから、江戸のイメー…