弁証論という言葉に引っかかっています。カントはDialektikを、理性による仮象の論理を批判するという意味で使います。日本語訳としては、弁証法ではなく、「弁証論」を当てます。 Dialektikを遡ると、ギリシア語dialektikēに辿り着きます。この言葉はもともと形容詞で、後ろにテクネ―(術)やエピステーメー(知)が続いたようですが、現在、これらを省略した形で使われています。ディアは、二つの間に、という意味で「分かつ、弁別する」という意義を持つそうです。ディアレクティケーは、名詞のディアロゴス、動詞のディアレゲイン、ディアレゲスタイと関連しています。相互の話とか話し合うという意味合いにな…