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dnetc

(コンピュータ)
でぃーえぬいーてし

 RSA Data Security 社が主催している[ RC5 ]という暗号を破るコンテストで配布されている解析ソフト。正解鍵の発見者には1,000ドルの賞金が出る( 賞金そのものは10,000ドルで有るが、寄付等が義務付けられているので、純粋な本人の取り分は1,000ドル。但し、寄付のうち、所属チームへの寄付分1,000ドルは、チームへ所属していない場合には本人の取り分となるので、その場合は合計2,000ドルを受け取る事が出来る )。
 前回のRC5-64の発見者は日本人( *1 )であったが、本人が匿名を希望した為、詳細は不明である( *2 )。現在は、RC5-72の解読が競われている。個人でも登録可能で有るが、基本的にはチーム登録制で、日本から参加している主なチームは以下の通り。

 日本人は、比較的高性能なコンピュータを所持している事から、国別では総合5 位。一人当りの解読量では[ 500前後 Blocks/Person ]と、続くオランダの[ 200前後Blocks/Person ]を大きく引き離している( *3 )。尚、国別総合1 位はアメリカであるが、一人当りの解読量は[ 80弱Blocks/Person ]と低い数値に止まっている( *4 )。
 CPU/OS別ではX86/Win32がトップであるが、続く2位はX86/LinuxでX86/Win32の1/5の解読量を誇り、dnetcではUnix系のシェアが高い事を伺わせる( *5 )。又、日本からの参加チームも、FreeBSDやLinuxのUsers Groupが上位に入っており、やはりUnix系のシェアが高い。
 RC5-72の解読は2009-12-25現在で0.697%( 2,579 日 )であるから、今後CPUの性能に変化が無いという前提では、解読は1000年後となる。但し、GPU用のプログラムはCPUの34倍( *6 )の性能が有る事から、GPUが本格参戦すれば単純計算では30年後となる。実際には、そこまで解読速度は上がらないだろうが、CPU・GPUの進歩は著しく、GPUを取り込んだCPUの開発も進められている事から、2025年前後には解読されるのではないかと推定される。

プログラムの入手先

 クライアント用のプログラムは以下から入手可能。
    distributed.net: Client Downloads
    distributed.net: Pre-Release Files

 汎用CPU用としてはLinuxでは、[x86/ELF]となる。AMDの64Bitなら[AMD64/ELF]となる

 GPU 用としてはATI がStream、nVidiaがCUDAとなる。動作させるには、Linux標準ドライバではなく、メーカのグラフィックドライバが必要となる( *7 )。従って、X/Xorgが動作している必要が有り、コンソールモードのみでは動作しない( *8 )。尚、linux 版のStream-v2.9109-518-CTR-11012120 は、マルチビデオボード( Crossfire ) やマルチGPU はサポートしていない。従って、ビデオボードの2枚差しやマルチGPUタイプのビデオボード( HD 5970等 )では動作しないか、十分な能力を発揮出来ない可能性が有る( *9 *10 )。

 dnetc自体はCPU・GPUの空き能力を利用するので、実際の動作には何ら影響は無いし、CPU用とGPU用の併用も可能である( *11 )。但し、CPU・GPUも常時100%の状態となるので、冷却や排熱には配慮が必要となる。一般的に販売されているコンピュータやビデオボードの中には、負荷100%での連続使用を想定していない物も有るので、注意して欲しい。

参加方法他

 先に記載した各チームの公式Web に記載が有るが、専用の公式ページを持つ[ Japan Linux Users Group ]が詳しい。又、[ Japan Linux Users Group ]及び[ Japan FreeBSD Users Group ]にはRC5 専用のメイリングリストも有る。
    クライアントプログラムを動かすには?
    Linux-dnetc メイリングリスト
    ( 現在使用不可の為、こちらのlinux-usersを使用して下さい。 )
    FreeBSD-dnetc メイリングリスト

Stats are unavailableと表示される。

 まれに、dnetcのWebサイトを訪問すると、上記のように表示される事がある。サーバが不調なだけで、送付した解析データは受信されているので、心配は無用。数日もすれば回復するので、distributed.net: staff blogsでも読んで気長に待ちましょう( 過去には1ヶ月近く、この表示だった事も有ります )。

その他

 [ Japan Linux Users Group ]にはdnetcのベンチマークの登録ページがあり、各ユーザ環境での速度の登録が可能となっている。非参加者や他チームでも登録可能なので、登録して早さ自慢をしてみてはいかがだろうか。
    ベンチマークの統計[RC5-72版]
 尚、登録にあたってマルチCPUやマルチコアの場合は、以下の式にて計算した値を登録する必要が有る( GPUはそのままの値で良い )。


登録する値 = ベンチマーク結果 x コア数 x CPU数

    ※ CPU数 : M/Bに搭載している物理的なCPUの数。


  Phenom II X4 1個 ( コア数 = 4 , CPU数 = 1 ) : 登録する値 = ベンチマーク結果 x 4 x 1
Athlon MP  2個 ( コア数 = 1 , CPU数 = 2 ) : 登録する値 = ベンチマーク結果 x 1 x 2

*1:約4年間(1,757日)の期間と33万1,252人の参加者に依る総当たりなので、発見の有無は運です。

*2:2002-07-14に発見されたが、サーバのスクリプトが壊れていたため、8月12日まで気づかれなかった。キーは[0x63DE7DC154F4D03]、復号された平文は[ The unknown message is: some things are better left unread ( 読まれないままの方がよいものもある ) ]。発見したのは東京のコンピュータで、仕様は[ Pentium III 450MHz, Windows 2000 ]。

*3:参加人数が1000人超過の国での比較。数値は時期により変動有り

*4:驚くべき事に、北朝鮮も参加していて、99位となっている。さすがに、これは、んな事している余裕が有るのなら食料問題をどうにかすべきだろう。尚、IT先進国を標榜する韓国は50位、中国は53位で台湾は58位、香港は34位。

*5:dnetcの性質上、連続稼動している方が有利なので、サーバで稼動している例が多い事が、Linuxのシェアが高い原因の一つと思われる。なぜなら、サーバにおけるWindowsのシェアは40%代に過ぎない。さらに、重くて不安定なWindowsでは、余計なソフトを稼動したくないという事情も影響していると思われる。ちなみにインターネットの基幹(DNSサーバ等)サーバやスーパコンピュータに到っては、windowsのシェアはほぼ0である。

*6:Radeon HD 5870はPhenom II X4 965( 3.4GHz )4コア並列処理分合計の34.37倍の解読能力が有る。

*7:The driver in use also MUST be fglrx from either the Catalyst or FireStream Drivers.

*8:X/Xorg must be running.

*9:The client doesn't support Crossfire or multi-GPU yet.

*10:高性能グラフィックボードは発熱が尋常でない場合が多く、筐体への熱伝導による冷却も加味しているものも有る様子。従って、排熱的にも2枚差しは推奨しない。尚、アルミケースの方が排熱的には有利。但し、アルミケースは静音化では不利。

*11:Windowsでは、CPU版と併用するとGPU版は十分な能力が出ないとする記述がWeb上に見られる。尚、Linux版では、逆にCPU版と併用しないとGPU版単独では不安定である(環境依存の可能性もあり)。

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