バイトが終わるのはいつも夜の12時過ぎだった。ボーイ用の蝶ネクタイを外し、ワイシャツの上からジャンパーを着ると、そのまま店の外にあるバイクにまたがった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 深夜にもかかわらずネオン街は明るく、酔客の喧噪に溢れている。店からバイクで15分も走れば下宿に着くのだが、途中で大学のキャンパスに立ち寄ることが多かった。バイクを押したまま大学の通用門をくぐると、正面の理学部棟にはまだいくつか灯りが見える。だが、体育館脇にあるサークル棟はさすがに真っ暗だ。 サークル棟入り口の自販機でカップラーメンを買ってお湯を注ぐ。木造2階建ての建物は、ひょっとして戦前から有るのでは…