罪悪の自覚と覚りと天国の門 - 八木雄二『イエスと親鸞』を読む - 増谷文雄先生の『仏教とキリスト教の比較研究』(筑摩書房,1968)は今でも名著だと思う。これは、およそ30年ほど前、私がはじめて手にした宗教書だった。それ以来、キリスト教を体系的に学ぶことはなかったものの、私の中では、仏教とキリスト教の比較というテーマは関心事であり続けている。自分を知るためには、他者の眼を通じなければならないのと同様に、仏教を知るためにはキリスト教のフィルターを通すことが有効だと思うからだ。 しばしば、真宗とキリスト教との類似性が指摘される。本書もまたその観点から執筆されているが、著者がどちらの宗教にも属さな…