スウィム・トゥー・バーズにて (白水Uブックス) 作者:フラン・オブライエン 白水社 Amazon ★★★★ 大学生の「ぼく」は余暇に小説を書いていた。その主人公トレリスは罪と報いについての小説を構想しており、登場人物を何人か創造して自分と同じホテルに住まわせている。トレリスの創造した人物たちは、彼のコントロールを離れ、トレリスに一服盛って昏睡状態にしてしまう。その後、トレリスの私生児が復讐目的でトレリスについての小説を書くのだった。 小説と戯曲はともに楽しき知的実践である。小説は幻想の外的投影物に欠ける点において戯曲に劣るが、しばしば姑息な手段で読者をペテンにかけては架空の作中人物の運命に人…