(1885−1971) ハンガリーの哲学者・批評家・マルクス主義理論家。ドイツへの留学によって『魂と形式』(1911年)、『小説の理論』(1914−15年)などの文芸理論を発表し注目を集め、第一次大戦後、ハンガリー共産党に入党し、翌年、ベラ・クーンの革命政府に教育人民相として参画。革命崩壊後、ウィーンに亡命し、1922年に『歴史と階級意識』を発表した。そこに収められた論文は、19年のハンガリー革命の渦中およびその後のウィーン滞在中に、革命の総括として書かれたものだが、「全体性のカテゴリー」と「弁証法」をマルクスの著作において復権させ、その後の「西欧マルクス主義」の思想的出発点となったことで知られる。ここでのルカーチの引用は、『歴史と階級意識』第二章「マルクス主義者としてのローザルクセンブルク」の最初に出てくる言葉(邦訳『ルカーチ著作集 9』、吉田光・城塚登訳、白水社、1968年、67ページ)。『歴史と階級意識』のフランス語訳は1960年に出版されている。